某じゃぱん

魚釣りと人間

釣り:見た目と中身

月に一度程度、海釣り公園に行く。駐車場はあるし、トイレもあるし、売店もある。多くの海釣り公園は手ぶらで行ってもレンタルで全て揃う。簡易なクーラーボックスも売っているから、釣果も持ち帰れる。便利。

 

海釣り公園にはいろんな人がいる。

子供の「魚釣りしたみたい」を叶えようと自身もほぼ初めてのお父さん。

自分の趣味に伴侶の理解を得ようと必死に教える男性。

二人とも釣りが趣味なんだろう、竿数制限いっぱい投げ込んで構える夫婦。

沖に向かってひたすら投げ続ける孤高のルアーマン。

ヘチ釣りでイソメをぶら下げた仕掛けを「っぽい」場所を見つけては落としてランガンしている人。

 

いろんな人が釣りを安全に楽しめるようになっている施設。きっと、見えるところも見えないところも、管理しているはず。そう、施設は管理が前提の釣り場。

 

コロナ禍でアウトドアレジャー大人気。

キャンプも釣りも、整備された場所でもそうでない場所でも、大いに興じられている昨今。

 

リードするのはいち早く始めた人たち。「っぽい」見た目、「っぽい」道具、「っぽい」動き。真ん中からちょっと外した感じもありつつ、「えぇ、私、キャリア○年なんで。いわゆる『ベテラン』ってヤツですか?」みたいな。何処にでも何にでもいるじゃないですか?こんな人たち。質問するといい感じに教えてくれて、+αな情報もくれるいい人。本人も割とソレが好き、みたいな。多分に想像が入っているだろうけど、この手の人が結構いる。

 

問題は「施設」ではなく「野良」で行うレジャーだ。管理の大半は自然の強さ、自然の吸収力や分解力に頼っている。人類は自然に大いに世話になっていて、日々負荷をかけ続けている。そして「っぽい」人たちも「っぽい」くせに余計な負荷をかける瞬間がある、中身が伴っていないが故に。

 

事件は先日。

いつものように仕事前、魚に構ってもらいに川へ。投げてはゆーっくり、投げてはゆーっくりで釣りをしていると。

帽子なし、サングラス、チェックのシャツ、Gパン、ブーツ、竿二本、バッグといった出立ちの余裕のある釣り師登場。歳は40歳くらいかな。護岸の上に立ち、投げ始める。力はあまり入れていなそうなのに対岸ギリギリにピシピシルアーを落として。腕がいいか道具がいいか、きっと慣れているんだろう、腕がいい。

 

しばらくして彼を見ると竿先を水面に向けて後ろにズリズリ下がっている。あぁ、根掛かりか。外れない。バッグをゴソゴソ。嫌な予感…

手のひらに収まるサイズの何かを竿先に据えると「ぷんっ」とテンションが緩む。彼は糸切りました。長さにして15mくらいですかね。

 

ここで、あの川のあの位置に15mくらいの範囲で糸が沈んでいるって情報は重要ではない。「糸を切るヤツ」が自分の釣りに行くところに来ているってことが重要。「川に負荷をかけているヤツ」が身近にいるってことが問題なのだ。

 

何年釣りをしていても、どんなに技術があっても、いくら高価な道具を使っていてもマナーがないゲストが多ければ未来は暗い。年季が入った人の釣りからビギナーは学習する。

 

「ゴミを捨てない」って倫理的なことをYouTuberが繰り返す日本。知識的なことはもっと先のステップってことか?

 

釣りをして長いおじちゃん?おじいちゃん?達は自然がゴミを分解し切っている頃から釣りをしているかもしれない。でも時代は変わって自然の循環サイクルは人類の消費に追いつけなくなっている。ゴミは自然のサイクルではなく、人為的に処理するサイクルに回さないと。事故で自然に押し付けているゴミまであるのに。そして、「仕事」であれ「遊び」であれ、知識と認識で防げる、低減できることは関与する人間の義務だろう。

 

ラインを切るならフックアイから。引っ張れば最もテンションのかかっている「結び目」から切れる。軍手で手に巻き付けても、ハサミに巻き付けても、メタルバイブに巻き付けても引き切れる。

 

見た目と中身は一致する、ことが多いが100%じゃない。正しい知識を身に付けるべき。ルアーも針も残したら自然には良くないんだから。千切れて飛んで行ったワームだって自然には良くないんだから。