某じゃぱん

魚釣りと人間

人間:やる気スイッチ

結論から言えば、そんなものはない。

 

最近メディアから聞こえてこないので、耳にしなくなった「やる気スイッチ」という言葉。使い勝手がいい言葉なら何でも使いたがる日本人。コマーシャル用のキャッチフレーズは創作だと平時はわかっているのに、感情が振れると盲目になる。

「ウチの子のやる気スイッチはどこにあるんでしょうねぇ」

いや、そんなものはない。

「ウチの子のやる気スイッチ、入れてくださいよ」

いや、ないものは入れられない。

 

他力本願。「たら」「れば」思考じゃ現実の受験はうまくいかない。

 

小さい子供なら、突然何かにはまって傾倒することもある。小学校、中学校の受験なら素直なウチに受験路線にはめ込むことも可能だろう。しかし高校受験に向けた勉強をするために外部的な影響から、特に「勉強をする施設」からのアプローチではめ込むのは期待薄である。

 

高校受験以上の情報量が多い勉強を、定期テストの勉強のように発想する保護者が多い。

「私は勉強したんですけどねぇ」

「毎日○時間勉強したんですけどねぇ」

「英単語はたくさん書いて…」

「単語帳自作して…」

「トイレに年表貼って…」

「塾の自習室で深夜まで…」

保護者自身はやっていたのだろうけど、どれも客観的に「辛そう」な印象しか与えない。勉強をしない、勉強が好きじゃない、受験生って言われるのがストレスな当事者にとって、クリアすべきはもう少し前のステップなのだ。

 

「勉強に慣らす」

 

勉強習慣のない人間にとって、勉強するってことは非日常である。しかもレジャーのような非日常とは違い刺激的ではないし、楽しくもない。「できない」なんてのは予定通りだ。だから「暗記」よりもさらにレベルを下げ、「書く」という作業を長時間継続するところから始めるべきだ。問題を読んで、解答を見て、解答欄に正答を書く。これだけ。ただし一定時間、少なくとも1時間以上はこの作業を継続する。英語が苦手なら英単語を書く。同じものを連続ではなく、100個程度ずつ何セットも書く。音楽をかけても、テレビをつけても、youtubeを流してもOK。一週間以上は毎日これを続ける。身体を勉強に慣らす。

 

勉強習慣がなく、且つ勉強が苦手で、さらに意識が低い子はここから。脳は勝手に記憶してくれる。使える記憶かどうかは別として。慣れれば取り組めるようになる。取り組めるようになれば得手不得手に気付き、対策を講じようと思うようになる。誰かに聞いたら、塾に行く気になったり、明確に嫌いな教科を避けたり。どれも進歩。

 

車で言えば、学校に通っているだけでエンジンはかかった状態。やる気スイッチはマニュアル車のイメージ。一部の車好きが乗るだけで、今は主流じゃない。大衆はオートマ車。で、変速オートマじゃなくて無段階変速のCVTな感じ。踏んでればどんどん加速していく。高速だって踏み続ければOK。本人がアクセルを踏み続けていれば、速度が落ちることもあるけど確実に進んでいく。

 

支援する側はアクセルを踏み続けられるようにしてあげる工夫をすればいい。やる気スイッチなんてものは、誰にもついてない。